最近わたしは、自分のWindowsパソコンに「Claude Code」を入れる作業をしています。
Claude Codeというのは、ざっくり言うと〝文字で指示すると、AIがパソコン上の作業を手伝ってくれる道具〟です。便利なのですが、これを使うには「ターミナル」と呼ばれる、あの黒い画面を触る必要があります。ふだんExcelやメールを使って仕事をしている人にとっては、最初の一歩でちょっと身構えてしまうところですよね。わたしもそうでした。
そこでこの記事では、わたしが導入前に下調べした「これは先に知っておくと、つまずかないよ」というポイントを、自分の備忘録も兼ねて、できるだけ専門用語をかみ砕いてまとめておきます。読者として想定しているのは、〝パソコンは毎日仕事で使うけれど、ターミナルとかCLIとか、その手の専門的な話はほとんど分からない〟という、かつてのわたしのような人です。
ひとつ前提を。WindowsへのClaude Codeの入れ方には「ネイティブ」と「WSL」という2通りがありますが、この記事は初心者にやさしい〝ネイティブ〟(WindowsにそのままPowerShellから入れる方法)を前提に書いています。
さきに要点だけ(忙しい人向け)
- お金:無料プランでは使えません。Pro/Maxなどの契約かAPIの従量課金が必要。古いAPIキーがPCに残っていると、意図せず課金されることがあります。
- 黒い画面:「PowerShell」を使います。CMDと見分けて、64bit版を開くこと。
- 事前ソフト:Node.jsは不要。Git for Windowsは〝任意(あると便利)〟です。
- 入れた直後:動かなくてもあわてず、画面を開き直せばOK。
- 日本語の落とし穴:ユーザー名・フォルダ名は半角英数字が安全。文字化けや日本語入力の不具合には対処法あり。
- 安全に使う:セキュリティソフトの誤検知に注意。確認モードのまま使う。学習に使わせない設定も。
- 機能の範囲:画面を見て操作する「Computer Use」は、ターミナル版にはありません。
ここから、ひとつずつ噛み砕いていきます。
1. まずはお金の話:〝無料プランでは使えない〟
Claude Codeは、ブラウザで使う無料のClaudeとは別物だと思ってください。Free(無料)プランでは利用できません。使うには、月額定額の「Pro / Maxプラン」などを契約するか、Anthropic APIの「従量課金」を利用する必要があります。
そしてもうひとつ、お金まわりで地味にこわい〝事故〟があります。
過去に他のAIツールなどを使っていて、Windowsの「環境変数」というところに ANTHROPIC_API_KEY というAPIキーが登録されたまま残っていると、せっかくPro(定額)を契約していても、Claude Codeはそのキーのほうを優先して使ってしまい、定額のはずが従量課金で請求が来ることがあります。これはAnthropic公式も〝そういう仕様です〟と認めている挙動です。
(環境変数というのは、パソコン全体で共有される〝設定メモ〟のようなものだと思ってください。)
心当たりがある人は、インストール前に環境変数を確認して、不要なら消しておくと安心です。
2. 〝黒い画面〟はPowerShellを使う
Windowsには、文字で命令を出すための黒い画面(ターミナル)が2種類あります。「PowerShell」と「コマンドプロンプト(CMD)」です。Claude Codeのネイティブインストールでは、基本的にPowerShellを使います。
見分け方はかんたんです。画面の文字の先頭が
PS C:\>… PowerShellC:\>(PSが付いていない)… コマンドプロンプト
になっています。
ここで、初心者がはまりやすい注意が2つあります。
(1) 64bit版を開くこと
スタートメニューに「Windows PowerShell」と「Windows PowerShell (x86)」が両方ある場合があります。(x86) が付いているほうは32bit版で、今どきの64bitパソコンではうまく動かないことがあります。(x86) が付いていない、ふつうのほうを開いてください。
(2) まれに〝実行が止められる〟ことがある
ごくまれに、Windowsの安全設定(実行ポリシー)によって、インストール用のコマンドが「スクリプトの実行が無効です」と止められることがあります。その場合は、次のコマンドを一度実行してから入れ直すと通ります。
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
これは〝自分のユーザーだけ、信頼できるスクリプトの実行を許可する〟という意味で、危険な設定変更ではありません。
3. 事前に入れるソフト:Node.jsは不要、Gitは〝あると便利〟
ネット上の古い記事を見ると、「Claude Codeを使うには、まずNode.jsをインストールして」と書かれていることがよくあります。でも、今の標準のインストール方法(ネイティブインストーラー)なら、Node.jsの事前インストールは不要です。古い情報につられて、余計なソフトを入れて混乱しないように気をつけてください。
「Git for Windows」については、ネット上の情報が少し錯綜しています。
少し前までは〝必須〟扱いで、「入れないと起動できない」と言われていました。実際、古いバージョンでは「Git Bashが必要です」というエラーで止まることもありました。
ですが、現在の公式仕様では、Git for Windowsは〝任意(推奨)〟に変わっています。入れておくと、Claude Codeがより多くの操作をこなせるようになりますが、入れなくてもPowerShellを使って動くようになっています。なので「必須だから、絶対に先に入れなきゃ」と気負う必要はありません。〝あると便利〟くらいの位置づけです。
4. 入れた直後に動かなくても〝あわてない〟
インストールが成功した直後に claude と打っても、「コマンドが見つかりません」や「内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません」と出ることが、とてもよくあります。
これは失敗ではありません。パソコンに新しい場所の設定(PATHと呼ばれる、いわば〝命令の住所録〟)が、まだ反映されていないだけです。
黒い画面を一度「×」ボタンで閉じて、もう一度開き直す。たいていは、これだけで直ります。
5. 日本語まわりの〝落とし穴〟
Claude Codeにかぎらず、こうした海外製の道具は〝日本語(全角文字)〟が苦手なことが多く、ここが初心者のつまずきポイント集中地帯です。3つに分けて見ておきます。
(1) ユーザー名・フォルダ名は半角英数字が安全
Windowsのユーザー名が日本語(例:C:\Users\田中)だったり、作業フォルダ名に全角文字や空白(スペース)が入っていたりすると、Claude Codeが場所を正しく読み取れず、エラーになることがあります。
Claude Codeに作業させるフォルダは「半角英数字のみ・スペースなし」で作るのが安全です。どうしてもスペースが入る場合は、パス全体をダブルクォーテーション(")で囲むと認識されやすくなります。ユーザー名が日本語の場合は、無理に既存のアカウント名を変えるより、半角英数字の新しいローカルアカウントを作って、そちらで使うのが安全策です。
(2) 文字化けしたら chcp 65001
黒い画面で、日本語が ???? や意味不明な記号に化けることがあります。これはWindows特有の文字コードの都合です。化けてしまったら、
chcp 65001
と打って文字コードをUTF-8に切り替えると直ることが多いです。あるいは、Claude Codeに「文字化けしたので、UTF-8で処理して」と日本語でお願いしても対応してくれます。
(3) 日本語入力(IME)の不具合
日本語をその場で打つと、確定した文字が二重に入ってしまったり、逆に欠けてしまったりする不具合が報告されています(原因はClaude Codeの画面表示の仕組みにあります)。
これは現在も改善が進んでいる最中の問題なので、Claude Codeを最新版にアップデートしておくのが基本の対策です。それでも気になるときは、長めの日本語は〝メモ帳などで打ってからコピー&ペーストする〟と回避しやすいです。
6. 安全に使い始めるために
(1) セキュリティソフトの誤検知に注意
Claude Codeは、パソコンのファイルを直接さわる道具です。そのため、Windows標準のセキュリティ機能や市販のウイルス対策ソフトが、〝あやしいもの〟と勘違いしてブロックしてしまうことがあります。インストールや実行が途中で止められてしまう場合は、セキュリティソフトの「除外(例外)リスト」にClaude Codeを追加すると通るようになります。
(2) 最初は〝確認モード〟のまま使う
Claude Codeには、AIにどこまで自動で操作を任せるかを決める設定があります。初期状態では、ファイルを作る・変える・消す前に、必ず「実行していいですか?(y/n)」と確認してくる安全なモード(default)になっています。
慣れてくると確認を省くモードにもできますが、最初のうちは、意図しない変更や削除を防ぐため、この確認モードのまま使うことを強くおすすめします。
(3) 会話を〝学習に使わせない〟設定を確認する
仕事のファイルを読み込ませるなら、プライバシー設定も見ておきましょう。いまのClaudeは、個人向けプラン(Free/Pro/Max)の場合、初期設定のままだと会話データがAIの改善(学習)に使われる可能性があります。
避けたい場合は、ブラウザでClaudeの設定 → プライバシーを開き、「Claudeの改善にご協力ください」系の項目をオフにしておきます。これはClaude Code専用ではなく、アカウント全体に効く設定です。(なお、安全性の確認のためにフラグが立った一部の会話など、例外もあります。)
7. 〝画面を見て操作してくれる機能〟はターミナル版には無い
AIが直接パソコンの画面を見て、マウスやキーボードを動かしてくれる「Computer Use」という機能があります。
ただし、黒い画面(ターミナル)から使うClaude Codeには、この機能はありません。これは「Windowsだから」ではなく〝ターミナル版だから〟です。画面そのものを操作してほしい場合は、デスクトップアプリ版(Cowork など)を使う、という住み分けになっています。「ターミナル版のClaude Code=画面操作はしない、文字でのやりとりで作業を進める道具」と覚えておくと、混乱しません。
さいごに
ここまでが、わたしがClaude Codeをインストールする〝前〟に押さえておいた注意点です。
並べてみると、難しい話というより「先に知っていれば10秒で回避できたのに」というものばかりでした。とくに〝お金まわり〟と〝日本語まわり〟は、知らないと地味に痛い目を見るところなので、これから入れる人の備忘録になればうれしいです。
実際のインストール手順そのものは、また別の記事でまとめる予定です。